PNG#00
「妖怪に会いたい!」
それが私がパプアニューギニアを訪れた最初の理由だ。
ニューギニア島の東側一帯がパプアニューギニアという国。
オーストラリアの北にある大きな島である。
第二次世界大戦で拠点となったラバウルがある地だ。
パプアニューギニアになじみがなくとも、日本人なら一度は聞いたことがあるだろう。
昆虫に目覚める前は、妖怪やら妖精やらそういった類の世界に興味がつきなかった。
私の姉や兄は幼い頃にコロポックルという小人を見ているし、少ないが、小人と遊んだという友人もちらほらいた。
「なぜ私には見えないのか」と子供ながらに大変悔しかったのを覚えている。
主には戦争の理不尽さや悲惨さが描かれているのだが、その中に腕を失った水木しげるが原住民と交流する姿が描かれていた。
水木しげるが敬意を込めて土人と呼んだ民族
精霊が息づくジャングル
そこに行けば私も妖怪に会えるはず!
そんな気持ちが2006年に私をPNGへと足を運ばせた。
2006年のPNGは、街には近代的な建物が立ち並びはじめていたが
田舎に行くと、水道や電気などのインフラ設備は整っておらず
自給自足の生活をしているところばかりだった。
今は亡くなられてしまったが、私が絶大なる信頼を寄せていた、成田さんという現地のコーディネーターがいた。ウルル○滞在記やイッテ○等のコーディネートもしている、PNGにはなくてはならぬ人だった。
その成田さんが、日焼けした肌に歯並びの良い白い歯をのぞかせながら、「白川さん、この国はこれからが面白い。日本や先進国が100年かけてきて発展した姿をこの国では数年で見ることができますよ」と嬉しそうにしゃべっていたのを今でも良く覚えている。
実際に、田舎では固定電話はほとんどないが、携帯電話は皆持っている。
固定電話という通信手段が定着する前に、携帯電話という文明が入った結果だ。
確かに今更、電話線を通すよりもアンテナを立てた方が断然早い。
しかし携帯電話を持っていても、電気が通っていない地域も多く
充電する場所がなかったりする。
なんのために持ってるんだと思うが、持ってるだけで彼らは幸せなのだ。
今、PNGはすさまじい勢いで他国から文明が入り、人々の生活激変している。
しかし、人々と文明が共に成長したわけではないので、人の中身がついていけてない。
価値もわからず、物欲だけがでてくるのだ。
正直、しばらくは治安は悪くなる一方だろう。しかし、今しか見れない光景がそこにはある。
来年には変わってしまうかもしれない彼らの生活を
少しでも多くの方に伝えられたらと思っている。