ざっくりパプアニューギニア

虫好きと旅好きをこじらせた、ざっくりしたOLのざっくりしたひとり旅日記。パプアニューギニアへは2006,2007,2009,2014年の計4回訪問。

PNG#04『キムとG』

f:id:gemari:20180308233028j:image

揉みくちゃの状態から、私をひっぱりだしてくれたのは、クムルロッジのキム。

 

クムルは現地の言葉で極楽鳥を意味する言葉。
その名の通り、ロッジの周りには沢山の種類の極楽鳥がいるため、クムルロッジは研究者やバードウォッチャーには人気のロッジらしい。

 

キムはオーナーの奥さんだが、牛耳っているのはほとんどこの人。

土偶のような体型をして、見た目の通り力持ち。
分厚い唇にどぎついピンクの口紅が浮いている。ちょっと守銭奴

 

片手で20キロ近い私の荷物を持ちあげ、片手で私を引いて、何か叫びながら、見知らぬおっさん達を蹴散らしてくれた。

 

この地の女性は本当に頼もしい。

 

車の近くまで行って落ち着くと、「Mari-!」といってハグしてくれた!
やはり臭いは強烈だが、知らないおっさんの体臭に比べれば、全然平気だった。

いや平気というよりは、おっさんの洗礼で慣れただけかもしれないが……

 

ただ、キムの壁はここからだ。

 

キムはロッジの車を使っているため、見た目は立派な車だが、中がひどい。

いわばGの住処。

小型の茶バネのGが、車の中には無数にいる。

人がいると隠れるので、目の前にこそ現れないが、扉を開けると大量の何かがサッと隠れるのが分かる。

 

荷物の中に入られるとやっかいなので、すべてのフタを固く締める。

ここから戦いは始まっている。

そして助手席に勢いよく座り、まずは座布団の下にいるGをつぶす。
その後キムの目を盗み、足マットを踏みまくる。

車中は笑顔でキムとおしゃべりしながら
足では必死でGをつぶしつつ、振動で威嚇する。

とりあえず動いていると近くには寄ってこない(気がする)。

 

まあ原因はわかっている。

車の中での飲食、それが全てだ。

 

キムに限らず、車の中でみんな何か食べている。もちろんゴミは車中か、窓の外にポイ捨て。

 

かくいう私も車の中でよく生ピーナッツを食べている。土から掘り出したばかりのピーナッツは甘くてとてもおいしい。

食べだしたら止まらない。

 

いやいや、だからと言ってやはりあのGの数はひどい。

 

田舎に行くと整備不良の車も多いので
今にも壊れそうなボロボロの車に乗るよりは
全然いいが、Gだけはほんと何とかしてほしい。

 

ちなみに、キムに迎えに来てもらったが、宿泊先はロッジではない。


私はPNGに自分の村があり、家族がいる。そして自分の家がある。

2006年の初夏に私は初めてPNGに降り立ち、そして彼らと出会った。その時は1週間ほどしかその村に滞在しなかったが、私たちはとても充実した時間を過ごし、私はゲストではなく、村のメンバーになったのである。

 

空港から村までは、車で1時間半程度。村に着いた頃には辺りはすっかり暗くなっていた。